朝槻ぃ!航海日誌を早ぅ書けぇぇ!!!

サイレント修正中… 今週のイチオシニューミュージック:男達のメロディー / SHOGUN

⓪-1【南極航海日誌】悲しき思い出

撮影遠征で一番大切なことは如何に徳を積むかというところだろう。
「時間的余裕」「金銭的余裕」「長年の勘」どれも大事だが「運」これに叶うものはない。
もはやギャンブルである。失敗話は色々あるけれどこの二つは一生忘れられない。
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◼︎2019年9月11日、種子島種子島町 H-IIBF8(こうのとり8号機)打ち上げ中止

サラリーマンというのは基本的に気軽にエスケープ出来ないため一発賭けで休みを取得する必要がある。わざわざ夏休みをズラしていただき残り少なくなったH-2B型ロケットの勇姿を撮影すべく種子島へ向かった。台風を心配したくなる時期ではあるが、当時の天候は快晴・ほぼ無風の1m/s前後・時期の割にはメラが少ないであろう6時33分リフトオフ・B型では7号機までの打ち上げ成功実績がある信頼と実績のMHI社製…という完全に好条件の揃い踏み。
誰がどう考えても打ち上がる気しかしない状況だった。当然、私もウキウキしながら日の出を待っていた。

深夜3時過ぎ。
ふと目が覚め、様子確認のために車外へ出るとオレンジの光が見えた。どう見ても火の手、火事。

MHI社航空宇宙技術の頂点と言える国産ロケットはML3移動発射台から火の手が上がっており放水作業が行われていた。当初ニュースサイトには一切情報が流れておらず、その場に居合わせた撮影者数人達と3キロ先の光景にただただ絶望を感じていた。GO!NoGO判断はNoGO。時間が経つにつれ状況が明らかになっていったのだが、朝6時の時点で3日から1週間は打ち上がらないだろうと判断し帰り支度を始めた。何度も延期になり25日になってようやく無事に打ち上げが行われたのだが、たった3kmという至近距離から目にすることができるはずだったその勇姿をスマホ画面上のニュース映像でしか見ることができなかったというのは、本当に残念でならなかった。一周回ってレアな体験をしたなとは思うけれども、轟音と共に空へ舞い上がる姿をこの目に焼き付けたかった。

TNSC / H-ⅡB-F8 機体移動直後とリフトオフ3時間前の光景

なお、発生原因等についてはマイナビニュース記事にて詳しく纏められいるので気になる方は是非。

マイナビニュース (2019年9月24日)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20190924-898784/
JAXA
https://www.jaxa.jp/press/2019/09/20190925a_j.html
内閣府
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-kiban/kiban-dai49/pdf/siryou5.pdf
文科省-宇宙ステーション補給機こうのとり」8 号機(HTV8)に係る安全対策について
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/059/houkoku/__icsFiles/afieldfile/2019/09/11/1421119_1_1.pdf

ん、風がキーパーソンだった。
好条件が幸運をもたらすとは限らない。

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◼︎2023年2月16日、北海道羅臼町 猛禽類・野鳥撮影

オジロワシオオワシ等の猛禽類の撮影ポイントとして世界的にも有名なこの街は2月の中旬ならばほぼ高確率で流氷が港へと流れ込んでくる。
2月16日マイナス12度の早朝5時、流氷を掻き分ける小型観光船が次第に朝陽に照らされ猛禽類が舞い始める姿を想像してほしい。幻想的だろう、うん。しかし、現実というのは実に非情だ。さて出航。肝心な流氷は強風の影響により遥か遠い沖合へと流されPM晴れの様に朝陽は霞んでおり、想像していた景色はなかった。遠路はるばるヨーロッパ圏の団体観光客も乗船していたのだがこの結果というのは非常に悔しいだろうなと心中察す。17日は快晴だったが強風という無情さ、予備日を含め2日間日程を組んでいたが両日共に失敗に終わった。

乗組員の配慮によってノーフライトは回避。途中からカメラを置きオホーツクを眺めはじめた

自然現象・動物類は人間側の事情なぞ汲んでくれない。辛いけれどこれが現実。情報を持っていようが行動しなければ始まらないし、行動したところで実を結ぶとも限らない。結局は運次第なのだと突きつけられた。

次回予告